結果的には、主治医の心配が正しかったことになりました。「診察にも来ないで、奥さんが申し訳なさそうに薬だけ取りに来るんだよ。『このままでは長生きできないでしょうか』って、奥さんにしみじみ言われちゃった。そんなことないですよ、とは言えないし。とにかく受診だけはきちんとするように伝えてくれって言っておいたけど」そして、久しぶりに外来受診に来た時、ばったり会った彼は、入院中の彼とはまるで別人。ひょうひょうとした雰囲気で、含蓄ある言葉を繰り出していた彼はそこになく、やり手バリバリ、ギラギラのオーラを発しながら、口から泡をとばして「忙しい」を連発していたのです。「いや〜、退院してから大きなビルの仕事が決まってね。景気が悪いというのに、ありがたいことだ。若いもんは頼りないから、俺ががんばらなけりゃあ。もう忙しくて忙しくて、病院に来るどころじゃなかったんだよ。身体の調子もいいよ。働いているとうんと元気だ。他の人たちにもよろしく言ってくれ」